"THE FIRST OF A MILLION KISSES" by Fairground Attraction (U.K.)
(1988) BMG/RCA |
|
personnel: | with: |
Eddi Reader; vocal | Kim Burton; accordion,tiny harp,piano |
Mark E. Nevin; guitars | Roger Beaujolais; vibraphone,glockenspiel |
Simon Edwards; guitaron(Mexican 6-string bass) | Ian Shaw; backing vocals |
Roy Dodds; drums,percussions | Will Hasty; clarinet |
Anthony Thistlethwaite; mandolinC | |
Steve Foster; mandolinB |
all songs written by Mark E. Nevin
exceptI by Eddi Reader
Front cover photography by Elliot Erwitt
produced by Fairground Attraction & Kevin Moloney
「奇跡の1枚」其ノ一
1枚のアルバムで、最初から最後までの全ての曲を、
惹き込まれるように聴き入ってしまうことって、そんなに無いような気がします。
全編緊張と驚きが持続して、聴き終わってから、
「ほ〜っ」と深く溜息をついてしまうようなアルバムには、
なかなか出会うことが出来ません。
しかし、たま〜にそんな作品に巡り会うことがあります。
勿論、超大物の超名盤なんかは、それはそれは聴き応えがありますが、
そのミュージシャンのキャリアで何故かその1枚だけ、
際だってテンションも高く、充実し、楽曲の粒も揃っていて、一切の無駄もない、
そのような作品があったりします。
そんな1枚を、ワタシの周辺では「奇跡の1枚」と呼んでいます。
今回はそんな「奇跡の1枚」のうちから、
フェアグランド・アトラクション(以下、FA)のこの1枚。
ワタシのみならず、ともキンのドイダーマンも、丹羽ちゃんも大好きなアルバムです。
英国のソングライター/ギタリストのマーク・E・ネヴィンと、
シンガーのエディ・リーダーが中心のFAは、
アコースティック楽器を中心に、英国のトラッド、フォークや
カントリー、ケイジャン、ジャズなどの要素を取り入れた、
飾り気なくシンプルでありながら、
唯一無二の個性的な(ちょっとヘタウマ)演奏を聴かせます。
で、このアルバムの「奇跡」なのは、とにかく自身に満ちあふれている、というところ。
演奏、楽曲、歌唱、全てに於いて自信満々です。
個性的な演奏スタイルですが、ソイツを一点の迷いも無く、貫き通しています。
そして、セッションシンガーの生活が長かったエディが
自分のバンドで自分の歌を唄う喜びと、
自分が作った歌をのびのびと唄うシンガーを得たマークの喜びが、
全編に溢れているように聞こえます。
「出逢いの喜び」。ソングライター、シンガー、バンド、最高の出逢い。
それが奇跡を生んだのかも知れません。
著名な写真家によるジャケットも、ホントに素敵です。
Aが全英bPとなったほか、4曲がチャート・イン。
全英アルバム1位も獲得しました。
商業的にも大成功したようで、1989年には、来日も果たしています。
ライヴでは、アルバムで聴かれるよりもダイナミックな演奏で、
度肝を抜かれたのを覚えています(大阪公演見たんだよーん)。
しかし、その余韻も冷めない8月、彼らは解散したのです。
ビックリしました。奇跡は、長続きしなかったのですねー。
その後、エディはソロでも活躍しています。
マークも、プロデュース業をやったり、自作ソロを作ったりしています。
でも、今のところ、奇跡は起こっていないようですね・・・・・。
2000.10.4 text by 佐藤