"Modern Answers To Old Problems" by Ernest Ranglin

Modern Answers To Old Problems
Label:TELARC UCCT-1010発売日: 2000.12.20(日本盤発売)
01. Memories of Senegal
02. Outernational Incident
03. Kunene
04. Many Roots
05. Profiles
06. What A Day
07. Swaziland
08. Sound Invasion
09. Inflight
10. Alpinos
Performers
Tonny Allen:Drums
Joe Bashorun : Organ, Wurlitzer
Chris Franck : Berimbau, Guitar, Percussion
Ernest Ranglin : Guitar
Sylvia Tella : Vocals
Orefo Orakwue:Bass
Olalekan Babalola:Congas,Percussion
Olakunle Ayanlowo:Talking Drum
Denys Baptiste:Tenor Sax(except track9)
Courtney Pine : Tenor Sax(track9)

年末の糞忙しない時期に、小生が今年購入した中でのベストアルバムが登場!!

フェラ・クティ(ナイジェリア出身。主に自国で活動。1997年8月2日逝去。
アフロファンクのパイオニアで、サックス、ピアノ兼歌手)のファンとしては、
彼のバンドThe Africa 70時代の名ドラマートニー・アレンのテクニックとプロデュースと
テンションの高さを期待させるものとして、その本人が参加しているアルバムとしては、
聞かない手はなく、果たしてそれは今年最高のアルバムとなった。

正直言って、メインパフォーマーのアーネスト・ラングリンは知らなかった。
否、正確に言うとアーネスト・ラングリンの名前に特別引っかかってはいなかったが、
彼のギター演奏は知っていたことになる。アーネスト・ラングリンは、もともとスカ、レゲエの
草創期にその現場に立ち会ったミュージシャンであり、ジャズギタリストとしても相当有名とのこと。
ブルーグラス界で例えて分かり易く言うと、ベラ・フレックが自身の出所のブルーグラス界だけ
ではなく数多の他ジャンルのミュージシャンと共演しているのと同様で、アーネスト・ラングリン
ついて小生はジャズ界ではあまりお目に掛からなかったと思うのだが、
レゲエのジミー・クリフの「ベスト・オブ・ライブ!」やウェイラーズなんかで耳にはしていたことを、
本アルバムを聴いて再確認した。
既にそれらを聞いていたときに、ギターの印象が非常に強かったことを思い出し、
改めて小生保有のCDの中から引っぱり出して聞き直してみたらやはり記憶は正しく、
再々認識でアーネスト・ラングリンファンになってしまった。

インターネットでさっそく調べてみると、あるわあるわアーネスト・ラングリン名義の
ものもさることながら、彼の参加したアルバムのその多いこと!
これから地道に探索しながら聞いていきたいミュージシャンがまた一人増えてしまった
今日この頃なのである。

さて本アルバムについてであるが、全編トニー・アレンが参加していることもあり、
アフロファンク度が非常に高い。それなのにアーバンな感じなのである。
フェラ・クティのようにどろどろしていないので聞き易い。
とも様キングスの名ドラマーさん、是非このアルバムを聴いて下さい。
ジャズ、フュージョンっぽいメロディーと曲想でありながらそのリズム隊の大胆且つ複雑なこと!
メロディーやコードは複雑ではなく覚えやすいながらもグルーブ感が素晴らしい!!

本アルバムは単なるギタージャズのアルバムではなく、日本盤の解説によると
アーネスト・ラングリンが「インスパイアリング・ヴォーカリスト」と評するシルヴィア・テラ
加えて本アルバムを製作しているので、ヴォーカル入りの曲が5曲入っている。
これもジャズ好きやギター好きというコアなファンだけではなく、広く紹介できる要因だ。

上記したように、演奏は全体にアーバンな感じ、クールな感じにまとまっている。
トニー・アレンのドラミングは音数が多いにも関わらず、タイトでありながら前面に出てきている。
サックスとオルガンが全体のソフィスティケイトされた雰囲気を醸し出すのだろうか?
ところがギターのメリハリが面白いのだ。
「そんな引きまくったらクールな感じが台無しちゃうん?」って思うところが要所々々の
リフとソロワークの箇所でして、ちょっと他の類似のギター弾きは思い当たらない。
要するに、トニー・アレンアーネスト・ラングリンって似たもの同士なんですわ!
上手く例えになるかどうか分からないけど、クールなフュージョンを演奏しているバックで
何やっているかようわからんジャコ・パストリアス(ジャズベーシスト)ってな感じかな?

1〜4曲は、アフロ色の濃い曲々。
5曲目は、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンを彷彿させるファンク色の強い曲。
6〜8曲目まで淡々と進みオルガンのジョー・バショランの聞き所も満載。
9曲目は出だしから思わずクレージーケンバンドを彷彿。
オルガン、サックス(コートニー・パイン)かっこいいねえ…(惚れ々”々)。

今年アーネスト・ラングリンは、齢68とのこと。
一見、テンションの高さを感じさせないながらもクールにグルーブ感を増していく様は、
何とも形容しがたく、魅力溢れるアルバムに仕上がっている。今年最高の1枚になった。

20世紀大晦日 紅翼

追記 今年(紀元2000年)のトピックとして、もう一つあるが別稿に委ねる。


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