"A STRING CHEESE INCIDENT" (LIVE)(1997)
by The String Cheese Incident (U.S.A.)

A STRING CHEESE INCIDENT
6221021002 SCI Fidelity Records
@LONESOME FIDDLE BLUES (Vassar Clements) EPIRATES (Kang)
ALITTLE HANDS (Nershi) FWAKE UP (Nershi)
BDUDLEY'S KITCHEN (Nershi) GLAND'S END (Tim O'Brien)
CRHYTHM OF THE ROAD (Nershi) HSAN JOSE (Kang/Nershi)
DHOW MOUNTAIN GIRLS CAN LOVE (Stanley) IWALK THIS WAY (Tyler/Perry)
personnel:
Kyle Hollingsworth;piano,organ,accordion
Micheal Kang;5-string electric mandolin,mandolin,violin
Keith Moseley;5-string electric bass,acoustic bass
Bill Nershi;acoustic guitar
Micheal Travis;drums,congas,djembe,timbales,percussions

「音楽と私」の、2000年ワタシのベスト・アルバムでも触れましたが、
ワタシが昨年最もよく聴いたミュージシャンは、
このストリング・チーズ・インシデント(以下SCI)です。
このバンド、ジャズ・フュージョン畑と思われるba・dr・keyに、
ブルーグラス畑のmn/vl・aco-gu、という編成で、
出てくる音もホンマ、そんな感じの音です。

SCIを最初に聴いたのがこのアルバム(=ライヴ盤)でして、
先ず選曲に驚きましたねー。
ブルーグラス・ファンおなじみの@なんかは
10分近い大曲に仕上げられていますし、
Dはシャープでモダンなブルーグラス・スタイルで聴かせます。
また、エアロ・スミスで超有名なIは、ハードロック/ブルーグラスと
目まぐるしくアレンジを変え、
ダイナミックに、同時に非常にユーモラスに演じます。
いやあ、楽しい!!!!
たたき上げの、ライヴ・バンドです。
その他の曲はバンドのオリジナルですが、
80年代ロック風の曲もあれば、アフロ・カリビアンの香り高い曲もありと、
バラエティに富んでいます。ああ、ライヴ見たい。
ただ、ヴォーカルが弱いのと、
ギター/マンドリンの音が、「生好き」の向きには不満かな。

ブルーグラス界にはかつて、
唯一無二の「ロック世代のブルーグラス」を演じ、
70〜80年代にかけてカリスマであり続けた
ニュー・グラス・リヴァイヴァル(以下NGR)というバンドがあったのですが、
必ずしもブルーグラス界に受け入れられた訳ではなく、
その後、これといったフォロワーもないまま、
「時代とリンクしたブルーグラス」というものは無くなってしまったのですが、
このSCIは、突然、ブルーグラスの外から現れたNGRのフォロワーである、
と思うのです。
ロックもフュージョンも、ワールド・ミュージックも聴いてるし、
それにブルーグラスを加えて無理なく「ミクスチャー」してるし、
70〜80年代にNGRがやろうとしていたことを、
別の方法論で今やっているのが、SCIであるのです。
マンドリンのマイケル・カン(←東洋系!!)は、
サム・ブッシュそっくりのチョップを聴かせますし、
インストのインプロバイゼイションも、NGRを思わせます。
もう、直系ですよ、コイツら。
NGRが好きな人には、聴いて欲しいなあ。感想も、聞きたいです。

ただし、近作を聴いてみると、ブルーグラス風味が後退し、
ロック・フュージョン風味が増しているんですよねー。
ほんなら、ただのロックバンドやん!! それ、おもんない。
で、ちょっと、心配しているんです。
次のアルバムが、少々怖い・・・。

とにかく、今、現役のバンドで、
大いに気になるモノのひとつであることには違いありません。
ともキンのライヴァルである、と見ています。

2001.2.24 text by 佐藤


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