”加那鳥〜カナリア〜”
by RIKKI

加那鳥
2001年 Kitty MME UMCK1056
@加那鳥(カナリア) [詞・RIKKI/曲・菅原弘明]
A東崎(あがりざき) [詞/曲・喜納昌吉]
B白い色は恋人の色 [詞・北山修/曲・加藤和彦]
Cのぼたんぬ花 [詞/曲・RIKKI]
D涙が止まらない [詞・松本隆/曲・鶴由雄]
E夕ぐれ [詞/曲・RIKKI]
F素敵だね〜秋ヴァージョン〜 [詞・野島一成/曲・植松伸夫]

「このアルバムについては書かんとこ」と、思っていたのですが、
色んなメディアに取り上げられて、結構評判がいいんです。
とにかく、ニュー・アルバムが出ただけでもメデタイメデタイ。
てなわけで、少し安心したんで、「やっぱり書こう」と思い立ちました。
・・・辛口に、ね。

これまでも何度か書きましたとおり、ワタシはRIKKIのファンでして、
幻のファーストアルバム以外は持っていて、今も愛聴しているのですが
この ”加那鳥” を最初聴いての感想は、「悪夢再び」でした。
「悪夢」とは、かの問題作 ”RIKKI”(1995年=中野律紀名義)。
このアルバム、じっくり聴くといい曲があったりするのですが、
とにかく無国籍〜東南アジア風のアレンジ(オマケに打ち込み)がうっとうしく、
プロデューサーである久保田麻琴=サンディの監視のもとで、
RIKKIが窮屈そうに唄っている・・・、そういう風に聴こえるのです。
いい曲も、いっぱい入ってるのにぃーーーーーー。
うぉうぉ、をぅをぅ、RIKKIが可哀想じゃぁ〜〜〜〜!!!!

この”加那鳥”では、@ABEがそんな感じ。
しかもバックトラックの音デカすぎ。ヴォーカルが埋もれてしもてるわ。
@Eは新曲で、それなりにいい曲ですが、打ち込みがウルサくて、聞きづらい。
特にEはRIKKI作の元気のいい曲なのに、グルーヴしない。勿体ないなぁ。
Aは喜納昌吉の名曲で、RIKKIの前作 ”miss you amami”(1998年)にも収録。
今回の録音では、パーカッション中心のコード感のない打ち込みで、
RIKKIは凛として唄いますが、演奏とは馴染まない感じ。
懐かしのフォークソングBは、アコギのスリー・フィンガーも登場してホッとしますが、
久保田麻琴風アジア〜無国籍アレンジが挿入されて、冷や汗が出ます。

CDは、鶴来正基って人のピアノをバックに唄われます。
Cは”miss you amami” 収録の、RIKKI作の佳曲。
Dは”RIKKI” 収録の松本隆の詞も素晴らしい名作。
ん?リヴァーヴ効きすぎちゃうのん?なんで??
ピアノも、とりあえず弾いてみました、という風で、演奏が流れてる。

と、けちょんけちょんにしてますが、
それでもアルバムの統一感が失われないのは、当然RIKKIの力量によります。
RIKKIさん、強くなったのねぇ、と感無量。
プロデュースのぶれに、動じることなく、素晴らしい歌声を聴かせます。
もう、それで十分といえば、十分なんですけど。
それでもやっぱり、よりよいRIKKIの歌を聴きたいですやんか。

最後の曲Fだけが、それを叶えてくれます。
この曲は、御存知(?) ”ファイナル・ファンタジー]”(FF])の主題歌。
黒田亜樹さんのピアノをバックに、ヴァイオリンとともに唄います。
ヒット曲のアレンジを大胆に換骨奪胎しまして、別の曲みたい。一体どんなコード進行や?
ヴァイオリンは、リズム感が若干違っていて、少し残念ですが、
RIKKIは歌い方を変えて、見事にピアノと響き合います。
別稿にもありますが、黒田亜樹さんとRIKKIはもう一つのユニットとも言えるような、
絶妙な意志疎通と相互理解が出来上がっていますので、そういう演奏が可能なのでしょう。
前回のライヴ(2001年10月14日)では、さらなる進化を見せていましたし。
アルバム作りにも、そういうRIKKIの歌に対する「理解」が必要です。

時間のない中でアルバムを出すのは、
プロモーション戦略上、FF]で注目されているこのタイミングしかないので、
それを差し引いて聴くと、もう、十分いいアルバムです。
ワタシ、当然よく聴いてますよ。
”加那鳥”は、正しく「名刺代わり」で「予告編」。
「挨拶代わり」で「イントロダクション」。
RIKKIは、こんなもんじゃあ、無いぞうぉー。
前回のライヴで確信しました。まだまだとんでもない可能性を秘めているのです。
フフフフフフ、これからじゃ・・・・・・・・・・。

2001.11.9 text by 佐藤


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