“SING LOUD, SING PROUD!”
by Dropkick Murphys

SING LOUD, SING PROUD!
2001年 HELLCAT/EPIC SONY
ESCA8278(日本盤)
@For Boston IThe Torch
AThe Legend Of Finn MacCumhail JThe Fortunes Of War
BWhich Side Are You On? KA Few Good Men
CThe Rocky Road To Dublin LRamble And Roll
DHeroes From Our Past MCaps And Bottles
EForever NThe Wild Rover
FThe Gauntlet OThe Spicy McHaggis Jig
GGood Rats PWarlords ※(bonus for Japan)
HThe New American Way

All songs written by Dropkick Murphys
except @by T.W.ALLEN, Bby Florence REECE, Pby F.U.'s and CN traditional

personnel; Dropkick Murphys are
Al BARR : lead vocals         Ken CASEY : bass,lead vocals
Matt KELLY : drums,bodhran,vocals   James LYNCH : guitar,vocals
Marc ORREL : guitar,accordion,vocals  Ryan FOLTZ : mandolin,tin whistle,dulcimer
Spicy McHAGGIS : bagpipes

produced by Ken CASEY

2002年サッカーW杯が日本でも開催されましたが、
ワタシは幸運にも「ロシア vs ベルギー」戦のチケットを手に入れまして、
静岡スタジアム(エコパ)まで見に行きました。
その往復の車内でよく聴いたのがこのアルバムです。
盛り上がるんです、とにかく。サポーター・ソングみたいに。

ボストン出身のパンクバンド、ドロップキック・マーフィーズ(DKM)。
「ライヴがやたら盛り上がる、バグパイプの入ったバンド」程度しか知らずに買いました。
聴いてみると、いやぁ、熱い熱い。ホンマ、熱い演奏です。
とにかく、みんなで唄う。それも、ユニゾンで。
男ばっかりで、大声で、汗を飛ばして、唄います。
聴かせることが最大の目的ではありません。みんなで唄うことが大切な目的。
もう、全編「しーんがろーんぐぅ!!」てな感じ。
@は、ライヴ音源からの“Let's go, Murphys!(ドン・ドン・ド・ド・ドン)”の聴衆大合唱から、
ドラム・ロールに導き出されて演奏開始、
バグパイプとともに野郎どもの体臭物量ユニゾンが炸裂します。
あー、潔い。

楽曲はどうかといいますと、17曲入りで47分という短さ。
ほとんどの曲は3〜4コードで、テクはナシ。
も〜、サイコォーー。迷いがないです。
ケレンみのない、真っ直ぐなバンド。好きやなぁ。
オマケに、実直なケルト指向もぶちまけています。
ボストンには、米国でも有数のアイリッシュ・コミュニティーがあるらしく、
ケルト系のバンドが出てきても不思議ではありません。
このアルバムから、バグパイプ奏者とマンドリン奏者がバンドに加わったようですし。
で、何と、GNでは80年代最高のバンド、ポーグスの元ヴォーカリスト、
シェイン・マッゴゥワンが参加!!!!
久し振りぃ〜、元気やった?? 聴くと・・・、あんまり元気そうじゃないな。

もう、お気づきでしょう、DKMはポーグス系のバンドなのでした。
ポーグスは、パンクとアイリッシュ・トラッドが激しく融合した、革新的で強烈な音楽と、
酒とタバコにまみれた閉塞感あふれる歌詞で存在感を撒き散らした、
ロック史上に燦然と輝くバンドです。
DKMは、パンクとアイリッシュ・トラッドの合体という手法だけでなく、
演奏の下手さ加減(=ホメ言葉)、勢い、スピード感、酒量・・・、似てるなぁ。
これまでも、シェインの去った(クビになった)ポーグス亡き後、
似たバンドを色々捜して来ましたが、様式は似てるけど何かしら物足りない、
「小型のポーグス」みたいなんばっかりで、がっかりし通しだったんです。
このDKMは手応えがありましたねぇ。
他のバンドでは目立って足りなかった「アホ度」(=もちろん、ホメ言葉)が非常に高い。
これだけは、ポーグス以上か? いやぁ、いいバンド見つけた。
・・・ただし、DKMがポーグスに成り代われる訳ではありませんので、念のため。

注文を付けるとしたら、一本調子の嫌いがあるかなぁ。
クールさや切なさなんかも、もっと欲しいかな。
もう少し、キャッチーなメロがあってもいいと思うけど、この辺は、好みの問題。
もう一つは、歌詞に“war”“battle”“fight”などが多いこと。
マッチョな歌詞ですこと。マッチョでないワタシは、引いてしまいますワ。
荒くれ者のバンドだという演出からでしょうが、
妙なナショナリズムを煽ることにならないように(利用されないように)願います。
ボストンで、ケルトのナショナリズム???? あり得ないか!?

9月にライヴ盤が出るみたいですね(日本盤)。
ライヴも、見たいなぁ。
でも、多分、ワタシは「しーんがろーんぐぅ!」は、しないと思いますけど。
実は、サッカー場でもサポーター・ソングは唄わないんですよ。
「みんなで唄って、一体感」って、何か、馴染めなくてね。
そんなコトしなくても、DKMは十分魅力的。

「音がデカい」「早い」「アホ」「迷いがない」「ケレンみがない」「熱い」
「勢いがある」「ユニゾン」「アイリッシュ」「バグパイプ」「マンドリン」、etc・・・。
ワタシの好きなモノをいっぱい持ってるDKM。
さあ、DKMよ、もう一皮むけてワタシの大好きなバンドになってくれっ!!

2002.9.16 text by 佐藤


とも様キングスのホームページに戻る