沖縄民謡特集「芭蕉布/二見情話」
マルフクレコード FCD-1 |
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うんにゃ〜〜〜、行きたいなぁ〜〜〜、沖縄。
行きたい行きたい行きたい。 もう、5年以上ご無沙汰ですわ。
そんなワタシの心を慰めてくれるのが、この1枚。
沖縄(琉球)音楽は、もう「ブーム」なんてな言葉が必要ないくらい、
日本音楽界に十分定着しています。
もう、CDショップには沖縄モンがウジャウジャ。
紅白出場歌手・夏川りみやビギンもヒットしてますし、
最近は、環境音楽やカフェ音楽何ぞもあるぞ。
‥‥この辺は、少々うっとうしい嫌いもある!!??
ビギンの島唄集"オモトタケオ"シリーズの2作は、
それは屈託のない、素顔の、生活感のある沖縄が唄われてますが、
その他は、絵葉書のような、観光土産のような、リゾート・ホテルのような、
いずれも何やら喰い足りない印象です。
かつてワタシが大好きだった、りんけんバンドやネーネーズも、
作を重ねるごとに、そのような傾向を増していきました。
そこで、このアルバム。 リアルな沖縄がみっちり味わえます。
もう、那覇空港のじっとりした湿気から、
まちぐわぁ(市場)の人々の活気、雑然とした街の生活、
観光用営業サーヴィス、夜のいかがわしさetc・・・、ぜぇ〜んぶ、楽しめます。
オムニバス盤で、録音時期は正確にはわかりませんが、
1960年代後半から70年代後半位までかな。
「沖縄民謡特集」というタイトルには偽りあり。
AD以外は、作者もはっきりした曲で、「民謡」ではなく、いわゆる「島唄」集。
超定番B、映画「ナビィの恋」でもお馴染みのC(=原曲ですよ)、
沖縄を代表する問答無用のヒット曲GIなど、選曲はも支離滅裂。
三線、太鼓、唄、といったオーソドックスなものから、
純歌謡曲風、ロック風、カレッジフォーク風など、何でもありですわ。
そんな中での共通点は、垢抜けないこと。
沖縄音楽といえば、三線による伝統的スタイである「島唄」と、
喜納昌吉やりんけんバンドに代表される、
ロック〜ポップス・アレンジの沖縄ポップが一般的ですが、
このCDでは、その中間的な音が一杯あふれています。
たとえば、GHLなど(Gは、今や屈指のスタンダードですが‥‥)。
喜納本人によるIも、チャンプルーズのファースト・アルバムや、
ライヴで聴かれるような、歯切れ良い、アップ・テンポの演奏ではなく、
ゆるゆる・もたもたした4ビート乗りで、4分近くに渡って演奏されています。
これはこれで、良いモンです。
この辺りの曲は、「島唄」と「沖縄ポップ」をつなぐ、「ミッシング・リンク」ですな。
喜納昌吉や、照屋林賢は、突然変異の、天才的な改革者ではなく、
沖縄音楽の文脈から必然的に現れた才能である、と証明しています。
F〜Lの、「モダン」でアッケラカンとした演奏の連続攻撃は、心地いいですよ〜。
‥‥ただし、時代はあくまでも70年代。 お忘れなく。
ところが、このCDのもう一つのハイライトは、その直後にやってきます。
M"別れの煙"です。
知名定繁さんの朴訥とした節回しに、
唐突に割り込む饒辺愛子さんのウチナー口のセリフ。
歌詞の内容と関係がなさそうでありそうなセリフが、思い入れたっぷりに語られるのです。
どうやら、島に残ったネーネー(お姉さん)が、
ヤマト(本土)に渡った弟と妹に語りかけているようです。
「洋服や靴は、ネーネーが買ってあげるよ」とか、
「ヤマトンチュ(本土人)に負けるな」とか、「電報を打ってね」とか‥‥。
それはそれは、濃ゆぅ〜〜〜い、熱ぅ〜〜〜いセリフ。
オマケに、7分近い長尺。 聴き終えると、ぐったりするほどです。
正に、「持って行かれる」曲ですよ。 必聴です。
その後に続く、NOは、隠れた名曲。 あ〜、聴き応えたっぷり。
マルフク・レコードの「沖縄民謡特集」は、3枚あって、
「芭蕉布/二見情話」は、1作目。
2作目は持ってないんですが、
3作目「吉屋物語/姑がなし」も、地味ですがいいアルバムです。
(B"うんじゅが情‥‥U"[by瀬良垣苗子/作・知名定男] は、名曲・名演!)
沖縄、いいよなぁ〜。行きたいよなぁ〜〜!!!!
2003.3.3 text by 佐藤