「元(はじめ)のライヴ」〜元ちとせ・1万人のフリー・ライヴ〜

メジャー・デビュー・シングル“ワダツミの木”を1位に送り込んだ元ちとせ
TVで特集番組は組まれるわ、雑誌の表紙は飾るわ、写真週刊誌に追いかけられるわと、
あれよあれよと全国区の有名人に。
ご存じのとおり、奄美大島のしま唄の出身。
実際、ちとせ嬢のしま唄アルバムを聴いても、
「天才しま唄少女」とか、「100年に1人の声」とかって印象は持ちません。
当然、上手に唄いますが、他にもこの程度の唄者はいますし。
ただ、地声はデカそうな感じ。←これは、大事なことですよ〜。

今回リポートします「元ちとせ・1万人のフリー・ライヴ」は、
最新シングル“君ヲ想フ”発売プロモーションのイヴェントです。
京都、東京、名古屋と回るらしい。
基本的には、誰もが観れるイヴェントですが、
シングル購入者には「優先席」が抽選で当たるのです。
ワタシは見事ソイツをゲットしまして、いざ出陣。
6月1日、会場は京都駅ビルの室町小路広場、通称「大階段」。
12時頃到着しましたが、すでに一般入場は終了ですって。
11時には満席札止めになったみたい。すげーーーー!
優先入場者は、通路で待機。1時間以上待ったかな?
で、その優先席とはステージかぶりつきの立ち見。
2月に観たHMVのスシ詰めインストアと同じや。
これが優先か??? うをぉぉぉぉ、座りたかったぁ〜〜〜!!!!
オマケに、真夏の天気になってきたし。
せっかくの野外やから、正面に座ってゆっくり観たかったな。

14時30分。現れました、元ちとせ。小柄です。
赤い着物風の鮮やかな衣装です。
演奏曲、バラしてしまおう。

    @糸くり節(?)  Aコトノハ  BLittle Wing (MC)
    CBirthday  D竜宮の使い  E精霊 (MC)
    F幻の月  Gワダツミの木 (MC)
    H君ヲ想フ (encore) I名前のない鳥   Jおやすみ

バックアップは、プロデューサー・アレンジャーでもある間宮工(gu)、
藤井たまお(per)、ゲストにライオン・メリィ(accordion)。
MDのカラオケが混じることも。
@は、奄美しま唄ですが、タイトルに自信なし。本人の弾き語り。
Jは、アカペラにパーカッションという斬新なアレンジ。

MCでは、「水を飲みすぎて、オシッコに行きたいんです・・・。」という、
破格のコメントもありました。さすが、大物!
でも、ちとせ嬢は、唄うので精一杯かな。
リハーサルをなぞるだけって感じです。
まだ、聴衆とコミュニケーション取ったり、
演奏者と響きあったりというところまでは至りません。
デビュー前に、しま唄の発表会などで人前で唄うことはあったでしょうが、
アマチュアでの活動歴は皆無ですから、
ステージングはぎこちなく、間をもてあましている様子も。
どうしていいか、解からんねやろな。「歌手を演じている」って感じ。
ま、デビューしたばっかりやもんね。そこがまた、初々しいのかも。
それでも、歌は上手で、音程は正確で、声量も十分。圧倒的な存在感です。

今、ちとせ嬢はきっと、今の自分に驚き、戸惑っているんでしょう。
ちょっと、この売れ方は異常です。
1年前まで、彼女のことを知ってる人なんて、ほとんどいなかったのに。
オマケに本人も、魂の一部は奄美に置いてきてるような気分だったでしょうに。
それが、シングルは1位になり、この大階段を埋め尽くす大観衆。
一体、彼女に何が起こっているのでしょう??
ミュージック・マガジン6月号のインタヴューでも、
なんや解ったような解からんような答えがあったり。
(インタヴュアーもアカンかったけどな。)
この環境の目まぐるしい変化たるや、想像もつかへん。
あんな、穏やかで静かで、閉ざされた小さな集落から出てきて、
「都会の人とやっていけるかな?」という不安からスタートしてるんですから。
日々、夢を見てるような気分でしょう。

この異常事態が、彼女の歌手生命を歪めてしまわないように、祈ります。
その「声」に注目が集まるあまり、裏声、コブシを強調する。唄い方が崩れていく。
または、自分を見失ってしまう。
そんな歌手が、結構いると思うのです。
裏声やコブシは、野球で言えばフォーク・ボールみたいなモンですから、
連投しちゃダメですよね。
ちとせ嬢、十分速い直球持ってるんやから、ね。
また、自分で曲を書かないんで、良い作品をもらい続けることも難しいかも知れん。
今は、プロダクションに恵まれ、大事にされてますけど。
自分で曲を書け、とは言わないですが(それが理想やけど)、
自分にあった曲や演奏スタイルを見分け、
それらを自分の唄にしてしまう力を育んで欲しいです。
ゆっくりね。色んな音楽に出会ってね。
リンダ・ロンシュタットエディ・リーダーのようにね。
「生かされる歌手」から、「自分を生かせる歌手」になって欲しい。
日本には、そんな歌手はまだ少ないみたいやけど。
7月には、ニュー・アルバムが出るそうです。
そんなに売れんでもエエからな。
長〜〜〜く、いい歌を聴かせて欲しいな。

元ちとせのweb site(オフィス・オーガスタ内) http://office-augusta.com/hajime/

2002.6.7 text by 7★


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