「2003年 ベスト・アルバム」

吉例・ベストアルバム選びです。
例年にならい、2003年に発表されたアルバムから、愛聴度・衝撃度を重視して選びました。
今年は、去年の半分くらいしかCDを買えませんでしたが、
そんな中から選びました、次の5枚。

(a)ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンド(米国)
    “LIVE AT THE WETLANDS” [DARE/WARNER WPCR 11471]
(b)ジャリクンダ・シソコ(セネガル) 
    “LINDIANE” [RICE/JALIKUNDA JAL0001] =ジャケット写真
LINDIANE
(c)ニュー・オーリンズ・クレツマー・オール・スターズ(米国)
    “BORVIS” [STRETCHY SR-182]
(d)スティーヴ・ウィンウッド(英国)
    “ABOUT TIME” [WINCRAFT/SONY SICP414]
(e)元ちとせ(奄美)
    “ノマド・ソウル” [EPIC ESCL 10001-2]

(a)(b)(c)は、初めて聴いたミュージシャンのアルバムです。

去年、最も驚いたのは(a)。
まず、米国でアフリカ系ペダル・スティール奏者、ていうのにびっくり。
ペダル・スティールでゴスペルや、っていうのにびっくり。
で、ロバート・ランドルフなる人物、まだ24歳だった、ていうのにびっくり。
暮れのライヴで「ホンマもん」を見て、その迫力にまたまたびっくり。
人なつっこいパフォーマンスに、も一つびっくり。
女性ヴォーカルだとばっかり思ってた声が、ベーシスト(♂)のものだったのにもびっくり。
曲も良いのを、書きますよぉ〜。
スタジオ盤“UNCLASSFIED”もメチャメチャ格好いいけど、
最初に聴いたデビュー・ライヴ盤に一票。
このバンド、しばらく追いかけるでしょうね。

(b)は、これまたファミリー・バンド。
グリーオ(=伝承音楽家)のシソコ一家と、その仲間です。
近年はやりの「アコースティック系アフリカ音楽」の流れですが、
その中では異色のものでした。
やたら都会的であったり、洗練ばかりが強調されてたり、上品に過ぎる作品の多い中、
荒々しさを取り戻した、原初的なアフロポップを聴かせてくれます。
耳に付くのは、2台のコラ(=ひょうたんハープ)と、パーカッション類。
これを、女性コーラスが煽ります。
そこに、ドラムキットとベースが実にさりげなく寄り添います。
荒々しいフルートを吹いているのが、英国人女性だったりするのも、面白い。
コンスタントに、活動して欲しいもんです。

(c)は、バンド名とジャケで買いましたが、以外と手堅い演奏で。
名前に「ニュー・オーリンズ」とは付いてるけど、
ニュー・オーリンズ色はそんなに強くなく、ユダヤ音楽(クレツマー)が全開です。
飄々とした、とぼけた演奏が軽快に続きます。
歌があれば、もっと良かったかな。

(d)は、超ヴェテランの、久々の会心作らしいですが、
恥ずかしながらウィンウッドは初めて聴いたんですねぇ。
ハモンド、カッコいい! 1曲目のイントロで燃えてしまいます。
ニワちゃん曰くの、「唄がアカン」は、その通り。
でも、伸び伸びとした演奏は、とても気持ちいいですよ。 ドライヴ向き。

をっ? 3年連続か!!?? (e)、よう聴いたんやから、仕方ない。
彼女の歌声は、良いですよ。
一●窈とは、全然違う。
前作“ハイヌミカゼ”よりは、いいんちゃうかな?
ライヴでは、乗ってくれば「地」の奔放なキャラが顔を出して、
明るい溌剌とした曲が、実に良かったんです。
録音モノでは、重い曲調が多いんで、方向転換希望!!
絶対、その方がいい。

このほか、トマス・マプフーモ(ジンバブエ)“TOI TOI”は、
米国の若いミュージシャンとの楽しそうな録音風景が伝わってくるような会心作でした。
大好きなブレイヴ・コンボ(テキサス)の“BOX OF GHOSTS”は、
クラシックの名曲をハチャメチャにカヴァーしてて、もう、大笑い。
そうそう、大西ユカリと新世界“五曲入”も、よう聴いたで。
解散後、15年間寝かせていたライヴ音源を発表した
フェアグラウンド・アトラクション(英国)の“KAWASAKI LIVE IN JAPAN”は、
ファン落涙必至。
ワタシも、思わず(;;;;;;)でした。
思い出が蘇ります。
この数ヶ月後に解散なんて信じられないほど、自信に溢れた演奏です。
ワタシの最も好きなミュージシャン、リチャード・トンプソン“THE OLD KIT BAG”は、
いいっちゃあ、いいんですが、如何せんジミですわ。
味がある、とも言えるんですが、花がないような。
楽器は、それはそれは鳴ってますよ。 でも、ジミ。
重ね録りしすぎか??

最後に、遺作を2つ。
死後発表されたジョー・ストラマー(英国)“STREETCORE”は、
その死がいかに突然だったかを表すように、死の香りなんて全然しない演奏です。
意欲作ですよ。
死の宣告を受けて録音され、発表後世を去ったウォーレン・ジヴォン“THE WIND”
遺影のようなジャケ写真。 アルバムのあちこちに、死の香りが。
豪華なゲストが、弔問客のように思えます。
ディラン“Knockin' On The Heaven's Door”のカヴァーは、笑えません。
その他の自作曲も、明らかに死を予見した、遺言のような曲ばかりです。
実際、ジヴォンの体調もかなり悪く、
座り込みながらヴォーカルを録ったりしてたようですし。
胸が詰まります。 これは、別の意味でファン落涙必至ですわ。
ただこのアルバム、悲しすぎて、楽しんで聴けないのが最大の欠点です。

去年聴いた2002年作品で、けっこう良いのがあったんで紹介しておきますと、
キャリア30年のリンダ・トンプソン(英国)の、事実上のファースト・ソロ
“FASHONABLY LATE”
は、名盤の風格。気負わない演奏。飾らない歌声。
息子のテディの控えめなサポートも、母の歌を一層引き立てます。
パンク・ケルト・フィドラー、アシュレイ・マカイザック(カナダ)の“ASHLEY MACISAAK”
ブッちぎれ具合に磨きが掛かりました。
彼の歌も、なかなかいいぞ。
演奏だけ聴いてると、下品なコアーズ、てな感じ?
バディ・ミラー“MIDNIGHT & LONESOME”、彼の最高傑作か?
ビル・モンローに捧げられたタイトル・トラックは、ブルーグラス・ファン必聴です。

最後に、ホントに一番聴いて、一番印象深いアルバムは、
当然ながら、ともキンさんの“奮発!1800”でした。
聴けば聴くほど、新しい発見がある・・・訳は、無いんやけど。
これは、生涯で第1位ですわな。
持ってる枚数も、第1位です。

ベスト・ライヴは、やはり12月のロバート・ランドルフ
他、リンダ・トンプソンも印象深かったですね。
RIKKIは、ライヴ向きでないことが判明しました。

今年も、いっぱいライヴ見て、CD聴きましょう。
ともキンも、ライヴやって、CD作って・・・は、ちょっとまだ無理なんで、
曲を作りましょう。
あ、去年のこのコラムで宣言した「3曲作曲」は、無理でしたが、
2曲は出来たんですよ、実は。
また、ライヴで発表できたらいいな。

今年も、頑張るでぇ〜!!

2004.1.10 text by 7★


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