「2004年 ベスト・アルバム」

お待たせしました、2004年ベスト・アルバム!
   ・・・って、もう4月やん。
ワタシは、2004年発表のアルバムの中から、選びましたよ。
2005年になってから、買った物も入ってます。
次の5枚だ!!

(a)ルキア・トゥラオレ(マリ)
  "BOWMBOI" [NONESUCH 79852-2=米盤]
(b)セクー・コヤーテ(マリ)
  "FASSAN DIARABY" [NEXT/SONO/SYLLART CDS 9153=仏盤]
(c)セクー・ベンベヤ・ジャバテ(ギニア)
  "GUITAR FO" [DISCORAMA/HARMONIA MUNDI WVF 479016=仏盤]
(d)ジョルジ・ベン・ジョール(ブラジル)
  "REACTIVUS AMOR EST" [UNIVERSAL/MERCURY 60249820813=ブラジル盤]
(e)マリカミズキ(奄美)
  "LUMINESSANCE(ルミネッサンス)" [JABARA JAB-27] =ジャケット写真

LUMINESSANCE(ルミネッサンス)

(a)と(b)は、この冬に訪れたマリからの2枚。
最近はやりの、アフリカン・アコースティック・ポップですが、
両者とも「オシャレで洗練」からは一線を画した音楽を作ってます。
ギターを中心としたアンサンブルは、ポップで緻密でありながら、
伝統的な泥臭さ、暖かみも感じさせます。
ギターって、マリの民族楽器やな、もう。
これまで都会的な音楽を作ってきたパリ在住のルキア・トゥラオレの(a)は、
伝統的な打楽器を多用して、これまでになく躍動的です。
彼女は、マリでは今や人気実力ともNo.1。
そんな自信に満ちあふれた1枚。  ライヴ見たいなぁ〜。
セクー・コヤーテの(b)は、自らのギターを中心に、
無数の伝統楽器、ドラムセットやベースギター、ホーンやストリングス、
懐かしめのシンセサイザーなどを取っ替え引っ替え使い、
キンキンビリビリ響く女声コーラスを織り交ぜて、賑やかな、演奏を聴かせます。
メロディやリズムは、アフリカ北方系かな。
ノリノリの、お祭り気分が味わえますよ。

(c)は、マリの隣国ギニアの老舗バンド、ベンベヤ・ジャズのギタリスト。
エレキと生を持ち替え、ゆったりとした大らかな音楽を聴かせます。
ベテランにありがちな「味勝負」だけではなく、技も達者。
バラエティに富んだ楽曲で、楽しい、飽きないアルバムです。

この他にも、アフリカものは沢山買いました。
ワタシには、2004年はアフリカの年、だったのね。
ワタシの砂漠行きの背中を押した一枚、ティナリウェン(マリ)の“AMASSAKOUL”は、
ざらついた荒々しい音が印象的でした。
ホンマもんのトゥアレグにも逢ったんで、生々しさも際だちます。
ライヴ、見たかったな・・・・・・・・・・。
ラシッド・タハ(アルジェリア)の“TEKITOI ?”も、格好良かった。
テロリストの報道写真を意識したような穏やかな表情のジャケット写真、怖い。
歌詞が解らないのが残念ですが、「9.11」以降のアラブ人の立場を代弁するような作品らしい。
うん、確かに怒りに満ちた、攻撃的な音やわ。 ・・・ちょっと、冗長な気もしましたが。
アフリカ最高のスーパースター、ユッスー・ンドゥール(セネガル)の問題作“EGYPT(“SANT”と同内容)”、
確かに、これは問題作ですねぇ〜。
これまでのユッスーとは全然違う、古くさいコテコテのアラブ音楽。
これまた「9.11」との関係が無視できない音楽ですね。
それは上品で、それなりに気持ちいいのですが、これをユッスーがやる必要があったのか?
彼の趣味だけやったのかな?
次作に期待、と言うしかないなぁ・・・。
因みに“EGYPT”と“SANT”、どちらかを買うなら、ジャケットの美しい“EGYPT”にしましょう。
その他、米国産アフロ・ポップのアンティバラス“WHO IS THIS AMERICA ?”も、ナカナカの力作。
これも「9.11」以降の米国を、内側から批判してるらしい。
歌詞が解れば、もっと楽しめるんやろな。

(d)は、ワタシが持ってたブラジル音楽のイメージを変えた一枚。
2004年最大の発見です。 ・・・と言っても、大ヴェテランですけどね。
これまでワタシが聴いてきたブラジル音楽は、オシャレでちょっと気取ってて、
下手したらカフェのBGMに成り下がる、って印象のものでした。
何か、予定調和で、喰い足りないんやな。
ところがこの便所男、血の気の多い、乱暴で荒くれた音楽をやるんですよ。
アフリカ系住民の多いブラジル東岸バイーア出身で、彼自身もアフリカ系。
当然、アフリカの匂いも強いです。 エエがな、エエがな。
ブラジル、この辺からもう一度攻めてみよう。
勢い余って、彼の代表作である“AFRICA BRASIL(76年)”も買ってしまった。
このアルバムの E“Taj Mahal”、機会があれば是非一度聴いてみて下さい。
ワタシらの世代なら、絶対誰でも知ってる曲ですよ。結構、笑えますよ。

さて5枚目、(e)は4年連続入選の奄美音楽。
皆さん、このアルバム、エエよぉ〜。
CDプレーヤーに乗せると、あ〜ら、不思議
。 あなたのお部屋に、海からの暖かい風がふわぁ〜っと吹き込んで来ます。
基本的には奄美民謡のアルバムなんですが、
マリカ(=吉原まりか)ミズキ(=中村瑞希)、2人の若い唄者が、
実に伸びやかに、大らかに、声がこぼれ落ちるように唄うんです。
バックには、出しゃばらないギター類やヴァイオリンが、
奇をてらうこともなく、音数少なく、楽しげに彩りを添えています。
風通しが良い音楽。 このジャケットのままの音楽です。
「島唄とポップスの融合」とか言われて久しいですが、こんな方法もあり、ですね。
別に、難しいコードをつけたり、ジャズ風にしたり、リズムをいじくったりせんでも、
現代的な島唄を作ることができるんですね。
マリカミズキ、今後に期待。 これも、ライヴ見たいな。

上の5枚以外では、ワタシの大好きなエリック・アンダースン(米国)の意欲作“THE STREET WAS ALWAYS THERE”が良かったな。
この道かれこれ40年の大・大ヴェテランの、何と初のカヴァー集。
彼と同じ時代を生き、唄ってきた友人たちの歌を唄ってるんです。
それも、収録曲の半数が、ヴェトナム戦争当時の反戦歌。
ディランの“A Hard Rain's A-Gonna Fall”や、
フィル・オクスの“White Boots Marching In A Yellow Land”なんかを
この時期に唄うなんて、エリック、アンタ、やるわねぇ〜。
米国では、どんな風に受け止められたんやろ?

RIKKIとの共演でお馴染み(?)のピアニスト・黒田亜樹の“タルカス〜展覧会の絵”も良かったですよ。
タイトル通り、ご存じEL&Pの代表曲を演じておるのですが、
「EL&Pの、生楽器・現代音楽版か」などと思って聴いたら、大間違い。
クロアキさんの魂が込められた、実に熱いアルバムなのです。

他では、渋さ知らズの“渋星”、フィッシュのラストアルバム“UNDERMIND”も、良く聴きました。
あれ? こんなもんか。
2004年は、その年発表のCDをあんまり買わなかったんですね。

2004年以前に発表されたCDでは、
メキシコの変なバンド、カフェ・タクーバの“CUATRO CAMINOS”[2003年]や、
フランス在住のマグレヴ楽団グナーワ・ディフュージョンの“SOUK SYSTEM”[2003年]も良かったな。
演奏者の意欲に充ち満ちた音が、ガンガン聴かれます。
ファイズ・アリ・ファイズという、新しいカッワール(カッワーリー歌手)も、見つけました。
世界デビュー作“LA NOUVELLE VOIX DU QAWWALI”[2002年]、迫力満点のライヴ盤。
リズワン・ムアザム・カッワーリーや、
ラーハット・ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンにもひけを取らない実力ですよ。
リズワン〜の、2004年盤“DAY OF COLOURS”も、ナカナカ良かったですよ。
カッワーリーの未来も、明るいぞぉ〜。

ライヴも、あんまり見いひんかったなぁ。
少ない中でも、7月の黒田亜樹(pf)・神田佳子(per)の現代音楽ライヴは、
非常に印象深かったです。
クラシック系の達人2人の、真剣勝負。 ケンカ、どつき合いのような演奏。
辺境の演奏家たるご両人には、大きな共感を覚えます。
4月のジャクソン・ブラウンは、色々なことを考えさせられました。
聴衆の精神年齢が、ジャクソンを追い抜いてしまったようなコンサートでした。
ファンと一緒に年を取るって、難しいんですね。

このコラムには、全然関係ないけど、
サッカーのベスト・マッチは8月に見たジュビロ磐田vsFCバルセロナ。
ロナウジーニョ、凄かったよ。 贅沢な一夜でした。

今年は・・・と言っても、もう4月やけど、
いっぱいライヴ見て、いっぱいCD聴いて、いっぱいサッカーの試合見るんや。
いっぱい遊んだんねん。
ともキンは、みんな忙しくて、なかなかライヴもできませんけど、
ライヴしたいよぉ〜〜〜〜〜〜。

2005.4.2 text by 7★


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