「RIKKI & AKI 〜成熟する音楽」

6月3日(日)、東京下北沢のライヴ・カフェ「ラ・カーニャ(La Cana)」で行われた、
”RIKKI & AKI デュオ・ライヴ”を見て来ました。
RIKKI(中野律紀)さんは、奄美の歌姫で、ワタシは半ば追っかけ。
ともキンwebsiteでも、何度か取り上げさせてもらってます。
AKIこと黒田亜樹さんは、 クラッシック出身で、
ポップス・タンゴ・現代音楽なども弾くピアニスト。
お二人は、RIKKIさんのアイドル時代(?)からのお付き合いで、
亜樹さんは「ポップス」のバックバンドでキーボードを弾いておられたようですが、
事務所独立後、RIKKIさんは、シマ唄以外の演奏会では、
亜樹さんのピアノを中心としたアンサンブルで唄うことが多かったようです。
で、そんなこんなで、亜樹さんは今や事実上、
RIKKIさんのサウンド・プロデューサー兼アレンジャー。
ワタシは、2人の共演を見るのはこの日で3回目になります。

昨年8月に初めて見たときは(リポートはココ)、
RIKKIさんの「唄」の素晴らしさに感激して満足してしまったのですが、
ここで白状しますと、正直言って、
演奏そのものには100%満足とはいきませんでした。
共演者(vo・apf・vl)同士の「遠慮」「戸惑い」が聴き取れたからです。
主役はRIKKIさんの唄で、背後にはシマ唄の深遠な伝統があり、
確かに扱いにくい素材ですわナ。
おまけに柔らかい歌声のRIKKIと、
ピアノという固い楽器とは、相性は決して良くないとも思いました。
ただ、亜樹さんのプレイは、シャープでアイディアも多く、
「流さない」演奏だったので、大きな可能性を感じたのも事実です。

2回目見たのは、今年の1月。
前回に比べてアレンジが大胆に、ダイナミックになり、
コードワークもさらに複雑になっておりました。
もう一人の共演者、HONZIさんのヴァイオリンも冴えを見せ、
演奏自体は格段に面白かったのですが、
肝心のRIKKIさんが演奏に乗ってない、というか、馴染まない印象が残りました。
消化不良気味のような。ん〜、難しい!

しかし、今回。
ピアノ・パートはさらに長くなり、アレンジもさらに大胆になっていたのにも関わらず、
前回ほどのギクシャク感はありませんでした。
これは、何故でしょう? 謎です。
ただ、この間、RIKKI & AKIはレコーディングや新曲作りなどで、
打ち合わせやリハをかなり重ねたようです。
事実上、音作りを任されている亜樹さんの苦労は、
想像を超えるものであったに違いありません。

で、ここからはワタシの想像ですが、
亜樹さんは、遠慮するのをもう止めたのではないでしょうか?
「シマ唄」とか、「伝統」とか、どうでもええやん(亜樹さん、大阪出身)、てな感じで。
で、結果的に、亜樹さんの音楽キャリアが炸裂して、RIKKIとタイマン。
RIKKIさんもそれに慣れて(とても器用なシンガーですから)、
戸惑うことがなくなり、唄がピアノに乗る。
そこで、二人の音楽が、一つのものに結実したのでしょう。
その瞬間を「目撃」したような気がしました。
特に、「東崎(あがりざき)」「永良部百合の花」といった、島唄ソースの曲は秀逸で、
新しい「琉球音楽」の可能性を切り開くものです。
・・・もう、「琉球音楽」なんてな括りも意味ないかな?
ありがちな、寄り添ったり、乗っかったりする音楽でもない。
パッチワークやコラージュでもないし、
ムードに流れるニューエイジ/環境音楽とも違う。
異種音楽の共同作業で、こんなに成功してる例をワタシは知りません。
こんな音楽、聴いたことない。
RIKKIさんの繊細でありながらスケールの大きな歌に、
亜樹さんのピアノが美しく響き、流れ、弾み、転がり、包み込み、渡り合う。
お互いの音楽に対する理解も、深まってのことでしょう。
もう、「歌手と伴奏者」という関係ではありませんね。
演奏者同士の意志が共通してるので、音楽が強いです。
その極みが、「御月様(うてぃきさま)」という、RIKKIさんによる新曲。
二人のコラボレーションの大きな成果です。素晴らしい曲ですよ。
ビックリしました。感激しました。さぶイボもんです。

リアルタイムで、ミュージシャンがどんどん変化していく様を実感できることって、
滅多にないように思います。
だいたい、最初の出会いが最も衝撃的で、
同じミュージシャンから、それを上回るようなショックを受けることって、稀ですよね。
RIKKI & AKIには、そういった貴重な経験をさせてもらいました。
もうすぐ、シングルが発売されます。
”素敵だね(ファイナル・ファンタジー]のテーマ)/御月様(うてぃきさま)”です。
買うでー。で、次のフル・アルバムの呼び水にするんや。
この先、ホントに楽しみです。

RIKKIさんの Web Site はコチラ

黒田亜樹さんの Web Site はコチラ

2001.6.26 text by 7★


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