「マリ共和国・トンブクトゥ州におけるポピュラー音楽とその文化的特性」

2008年から2年間、
私は京都大学大学院のアジア・アフリカ地域研究研究科に所属してました。
この研究科は、
「とにかく現場へ行って、面白いことを見つけよう」
「そいつをまとめて、何か新しいことを発見しよう」
てな感じで、
いわゆる臨地調査(フィールドワーク)を通して
特定の地域における人々の営みを観察し、
その地域やそこにに住む人々の理解を目指します。

そして、そのような研究成果の蓄積によって、
やがてはアジアやアフリカに住む人々、
強いては人類全体の活動を理解しようと試みています。

私も、在学中に2度に渡って都合3ヶ月間、
アフリカに滞在しました。
そのうち2ヶ月をマリ共和国で過ごし、
トンブクトゥ州のポピュラー音楽を調査しました。

マリは、言わずと知れたアフリカ屈指の音楽大国。
マリ出身のサリフ・ケイタ(Salif Keïta)を知らないアフリカ音楽ファンなんて居ないはず。

首都バマコは、そのサリフをはじめとする世界的に知られる音楽家から、
現地で圧倒的な人気を誇る歌手まで、
数多くの個性的な音楽家を生んできました。

その一方で、はるか北方のトンブクトゥ州には、
バマコとは全く異なるポピュラー音楽があります。
トンブクトゥ州は、
サリフと並んで世界的に知られるアリ・ファルカ・トゥーレ(Ali Farka Touré)の出身地。
そこで人々を熱狂させているのは、
サリフでも、バマコの人気歌手でもなく、
マリ国内でさほど知られていない歌手なのです。
また、トンブクトゥの歌手は、
マリでもっとも多くの人々が話す最大言語では唄わずに、
地元の少数言語、それも複数の言語で唄うんです。
人口約5万人にすぎない、砂漠に埋もれつつある古都を中心とした地域に、
なぜこのようなポピュラー音楽が生まれたのでしょうか?

ただのアフリカ音楽好きのワタシが、
音楽家へや現地の人々への聞き取りや、
かき集めた資料をもとに、その秘密に迫ってみました。

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ここに掲載した論文は、いわば中間報告です。

今現在、私が感じているトンブクトゥという地域の面白さと、
私たちが知らないポピュラー音楽の姿を描いてみました。
ちょっと長いですけど、読んでみて下さい。

体裁が整った論文を読みたい方は、
下のpdfファイルをダウンロードして下さい。
199ページです。

さらっと流し読みされる方は、
さらに下のリンクからHTMLファイルをどうぞ!
体裁は、若干ガタガタ気味です・・・。

また、読まれた感想を、送っていただけたら嬉しいです。
何かに引用される方も、連絡して下さい。
↓↓↓
tomokin123@gmail.com

では、 トンブクトゥの音楽の旅へ、
行ってらっしゃい!!

2010/10/10 text by 佐藤コウスケ

この論文のPDFバージョン(31.5MB):
A_Study_of_Popular_Music_in_Tombouctou-Kosuke_Satoh_2010.pdf



マリ共和国・トンブクトゥ州における
ポピュラー音楽とその文化的特性

ー多言語状況下で唄うソンライ音楽家の活動からー


2010年2月


= 目 次 =
第1章 intro
  1-1 「砂漠の音楽祭」で感じたこと
  1-2 用語・記述について
  1-3 研究の背景・目的
第2章 マリ共和国とポピュラー音楽
  2-1 ポピュラー音楽とは
  2-2 マリ共和国の概要
  2-3 仏語圏西アフリカのポピュラー音楽
  2-4 マリ共和国のポピュラー音楽
  2-5 マリ共和国の文化政策
  2-6 まとめ
第3章 トンブクトゥ・ポップの成立
  3-1 トンブクトゥの概要
  3-2 トンブクトゥ・ポップのあけぼの
  3-3 アリ・ファルカ・トゥーレの登場
  3-4 まとめ
第4章 トンブクトゥ・ポップの現状
  4-1 トンブクトゥのギター
  4-2 トンブクトゥの伝統楽器
  4-3 演奏の特徴・傾向
  4-4 トンブクトゥで支持される音楽家
  4-5 まとめ
第5章 多言語状況下で唄う
  5-1 歌手と言語
  5-2 ソンライ音楽家の実践から---アフェル・ボクム
  5-3 ソンライ音楽家の実践から---ハイラ・アルビィ
  5-4 まとめ
第6章 音楽を聴くこと、言葉が聞こえること
  6-1 ポピュラー音楽の聴かれ方
  6-2 聴取者の言語状況
  6-3 ソンライの人々とトゥアレグの人々の聴取状況
  6-4 聴く音楽と聞こえている言語
  6-5 まとめ
第7章 outro
  7-1 考察
  7-2 今後の課題と展望
  7-3 おわりに
bonus track
  I  アフェル・ボクム&アルキバルの歌詞
  II 参考文献

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